今日の放射線の話

昨日の日記で、
“仮に放射線を心配するにしても、心配するのは、せいぜい水戸以北でいいだろう”
と書いたところだが、早速にも今日、それが現れてしまった。

今日の朝に確認した、東海村周辺の放射線量は、おおよそ4000nGy/時。
(nGyは放射線量の単位。ナノグレイと読む)

北茨城周辺では、5500nGy/時を確認したという。
ちなみに、東海村周辺には、東海村周辺にある原子力施設の放射線を監視するために、常設のモニタリングポストが設置されている。

4000nGy/時という数字は、そのモニタリングポストが捉えた数字だ。
北茨城の方にはモニタリングポストは無いので、これは、茨城県が観測のために、モニタリング車を福島県との県境付近まで前進させていたのだろう。


まぁ、そういう関係者にしかピンとこない話はともかく、4000nGy/時という数字を見て、驚いた人も多かったのではないだろうか。
かく言う私もその一人だ。

個人的には、福島原発から北風に乗って放射性物質が飛んでくるとしても、500nGy/時くらいから現れ始めるのではないかと思っていた。

それが、朝起きてみたら4000という数字だったので、驚いてしまった。

驚いて、水戸以北で仕事をしている、放射線に詳しい知り合いに、

・この数字をどう思うか?
・自分はともかく、家族の避難を考えるか?

という質問をすると共に、自分でも被曝線量の換算を始めた。


放射線に詳しい知り合いから返ってきた答えは、

・(家族の)避難など【全く考えない】
・ミリのレベルに近くなってきたら、考え始める【かもね】

というものであった。

そして、自分の換算結果も、それを示すものだった。


詳しい計算過程は省くが(と言っても難しい計算じゃないけどね)、今日一日、東海村のもっとも放射線の高い場所で24時間外に立ち続けて、今日のもっとも高いレベルの放射線を浴び続けたとしても、被曝量は0.077mSv/日。
(mSvは被曝線量の単位。ミリシーベルトと読む)

これは、胸のレントゲン撮影と同じくらいの線量だし、胃のレントゲンや、東京⇔ニューヨーク間の飛行機よりも少ない線量だ。


もちろん、24時間外に立ち続ける人もいないだろうし、もっとも高いレベルの放射線がずっと続いたわけでもなく、4000という数字を示したのは一時で、その後は下降しているから、実際に浴びた放射線量はもっと少ないだろう。

つまり、今日一日、東海村で考えられる最も高い放射線を浴びた場合よりも、東京でレントゲンを受けた場合や、飛行機に乗ってアメリカに行った場合の方が、多くの放射線を浴びていると考えられる。
(だからもちろん、東京で観測した値くらいでは、全く心配するに値しない)

ここまで考えて、私は、今朝の自分の驚きようは、単に4000という外見の数字に驚いただけで、キチンとした根拠を伴ったものでは無いことに気が付いた。

そして、私は知り合いにメールを返した。
「慌ててしまって、お恥ずかしい」
と。


ちなみに、放射線に詳しい知り合いが、家族の避難を考え始める【かもね】と言ったミリのレベルとは、さっきのnGyで表せば、1,000,000nGyになる。
mSvに換算すれば、0.8mSv。

ちなみに、国が定める住民避難の基準は、さらにその10倍以上、10mSvになる(12,500,000nGy相当)。


もちろん、実際の国や自治体の傾向として、そこまで基準ギリギリで避難を決定することは無い。
不測の事態を考慮し、安全側に考えて、より低い値での避難決定を行っていると考えられる。

もし仮にその値が、かなり安全側に見たとして、知り合いの言った「ミリのレベル」と同じ程度であったとしても、今回観測された4000という数字では、遠く及ばない。

やはり、今回の私の慌てようは、軽率だったことになるだろう。
放射線に詳しい人間が感じる危険なレベルは、もっともっと上のレベルにあるのだから。


ちなみに、明日の放射線の状況だが、風向きが変わる上に、明日以降は雨が降るという。

雨が降ると、空気中を漂う放射性物質は、雨と一緒に地表に落ちることになるので、今日ほど広範囲には拡散しないと思う。
代わりに、原発周辺の放射線は、拡散しない分高めに出るかもしれない。

まぁ風向きが変わるので実際にどう観測されるかはその時の状況によると思うが、気象条件によって変わってくるというのは、頭に入れておくといいんじゃないかと思う。