風評被害だけはヤメロ。被災地に追い打ちをかける

これで、スーパーから福島産・茨城産の農産物が、一斉に姿を消すのかね。
そうなれば、被災地の人間に追い打ちになるよ。
被災地頑張れとか言ってても、言ってることとやってることが別になるよ。


今回の話、ついに来たかという感じはするが、実は驚くには値しない。
なぜなら、放出を伴う原子力事故であれば、周辺の農産物から放射性物質が検出されることは、想定の範囲内だからだ。

想定の範囲内だから、各自治体はモニタリングを行っており、今回それが報告されたということになる。

食品から放射性物質が検出されたとなれば、一般の人は驚くだろうが、食品に放射性物質が含まれていることは、通常時でも普通にあることだ。

代表的なものとしてはカリウム40が含まれている昆布だし、パンも牛肉もマグロも、どれも放射性物質を含んでいる。
でも、通常これらの放射能が問題にならないのは、健康には影響のないレベルだからだ。
(なのでそもそも、人体そのものが放射性物質を持っている)

外部被曝の話でも散々言われていたことだが、問題は放射線が有るか無いかではなく、それが人体に有害なレベルかどうかでしかない。
それは、食品による内部被曝においても同じなのだ。
(これまでだって、色々な食品を通して内部被曝しているのは変わらない)

食品モニタリングの流れを言えば、原子力事故が起こった場合、計画に従ってモニタリングが開始される。
農産物から基準を超える検出が確認されれば、災害対策本部などを通じ、出荷先へ出荷停止措置がとられる(←今ココ)

その後も引き続き、モニタリングは継続される。
この場合、どの放射性核種がどれだけ検出されたか、ということが問題になるのだが、これらは、原子炉からの放出が止まれば、次第に減衰していく。

モニタリングを続け、農産物の放射能レベルが基準値を下回れば、出荷停止措置が解除される、という流れになる。


強調しておきたいが、基準値を超えたエリアの農産物が出荷停止になるのは当然だが、それ以外のエリアは、出荷停止をする必要は無いと言うことだ。

恐らく、今回の報道を受けて、スーパーから福島産・茨城産の農産物が、一斉に姿を消すのだろう。
だけど、基準値を上回ったエリアの農産物を避けるのは仕方ないとしても、それ以外のエリアの農産物まで避けようとするのは、風評被害と同じ、ということだ。


この風評被害というやつが、被災地には大きなダメージになる。
地震津波と言った災害そのものだけでなく、この風評被害が、被災地への大きな追い打ちとなり、復興をも妨げるのだ。

国民の多くは、被災地頑張れ、福島頑張れ、茨城頑張れとやっていると思う。
だけど、その当の国民が、風評を信じて福島・茨城の農産物を避けるのであれば、それは言っていることとやっていることが別。
被災地に追い打ちをかけ、復興を妨げるものでしかない。

心配を膨らませ、無闇に福島・茨城の農産物を避ければ、被災地では、仕事を失い、生活の立て直しもままならない人達が大勢出る。
それは、被災地に追い打ちをかけ、復興を妨げるものでしかない。


今回の政府の発表によれば、基準を超えた農産物であっても健康に害のあるレベルではなく、基準を超えていない農産物に至っては、そもそも避ける理由は無いはずだ。

国民が冷静になり、被災地に追い打ちをかけることを自らしないよう、切に願う。