レベルが7になっても、やるべきことは何も変わらない
レベル7になった話について、悪いけど、騒いでいる人のほとんどは、「レベル7」とか「1万テラベクレル」とかの言葉を見て、騒いでいるだけと思うんだけど。
多分、言葉の中身とか、事象の中身とかは、そんなに理解してないよね。
今回の、レベル評価の流れを書いておこうかな。
今回は、「事業所外への影響」という話だから、その数値基準を書き出せば、
・レベル5なら、数百から数千テラベクレル相当の放射性物質の外部放出
・レベル6なら、数千から数万テラベクレル相当の放射性物質の外部放出
・レベル7なら、数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出
ということになっている。
で、原発から何ベクレル漏れたかについては、燃料の様子もつかめないような現状では、周辺のモニタリング結果の数字を積み上げて、推計するのが大部分のはず。
事故後、3月22日あたりから、土壌や陸水などの環境試料のモニタリングが始まって、その後順次モニタリング地点が追加されて、観測網が充実して、データが積み上がって、それで始めて専門家も、何ベクレル漏れたかの、ある程度の精度を持った推計が出来たはず。
もちろん、緊急的な推計はその時々でしてきたろうけど、それはその時点で得られた限定的なデータによるもので、精度も、あくまで緊急レベルのものでしかなかったろうし。
で、積み上げられたモニタリングデータから、何ベクレル漏れたかが推計できて、その結果を上に書いた数値基準と突き合わせて、始めてレベルが幾つだったかという、科学的な【根拠を持った】判断が出来るわけで。
「レベル7なんて、そんなの前から分かってた!」
という声があるけど、じゃあ【何を根拠】に、レベル7だと言えたのかな。
モニタリングデータも出揃っていない、試算もされていない状況で、【何を根拠】に、レベル7だと言えたのかな。
それは単に、【私はそう思ってた】レベルの話だよね。
科学的データに基づかない【私はそう思ってた】を根拠に、役所は公式な判断を出来ないよ。
「1万テラベクレル出ていながら避難させなかったのは何事だ!」
という声があるけど、何ベクレル漏れたかと、どこまで避難させるかは別物だから。
どこまで避難させるかは、あくまで何シーベルト被曝するかで考えるもので、それは別途モニタリング結果で、地域ごとの現実の数値が出ているから。
だから、地域ごとのモニタリング結果から、大元で何ベクレル漏れたかの推計が出来たからって、避難範囲が影響を受ける話じゃない。
多分、騒いでいる人のほとんどは、「レベル7」とか「1万テラベクレル」とかの、インパクトのある言葉を見て騒いでいるだけで、言葉の中身とかは、そんなに理解してないよね。
「レベル7でチェルノブイリと同等だ! 福島には人が住めなくなる! 東京も終わる!」
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とかのヒステリックな声もあるけど、そもそも、チェルノブイリがどうだったかも知らないよね。
チェルノブイリで漏れたのは、【数百万】テラベクレル以上だよ。
今回の福島が【数万】テラベクレルだったとしても、チェルノブイリよりずっと少ないよ。
しかも全周囲が陸地のチェルノブイリと違い、周囲の半分は海だよ。
チェルノブイリとは、可住地に与える影響がそもそも違うよ。
上に書いたように、レベル7というのは、
『数万テラベクレル【以上】の放射性物質の外部放出』
ならレベル7になってしまうのであって、被害の程度にかかわらず、数万テラベクレル【以上】ならレベル7になってしまうのであって、レベル7になったから被害もチェルノブイリと同等と、そんな短絡的なもんでも無いんだよ。
そんなこと言ってるのは、レベル7という言葉の中身も知らないし、チェルノブイリで何が起きたかも知らない人なんだよ。
レベルが7になったから、放射線や被曝線量が増えるわけでもないし、福島に人が住めなくなるわけでも、東京が終わるというわけでも無い。
レベルが、5だろうが、6だろうが、7だろうが、8だろうが、それは「評価」の話であって、それが変わったからって、原発周辺の線量が悪化するわけでも、東京の人間に危害が及ぶわけでもない。
レベルの「評価」が変わったからって、これまでに漏れた放射性物質が増えるわけでも無いし、今後の事象を悪化させるわけでもない。
レベルが上がったから危険になるとか、レベルが下がったから安全になるとか、そういう話では全然無い。
やるべきことは、原発の冷却機能を回復させること、周辺地域のモニタリングを続けること。
冷静に判断し行動すること、むやみに他人の不安を煽らないこと。
これは、レベルがどうなろうが、変わる話ではない。