沖縄にはセシウムもストロンチウムも、プルトニウムだって既にある
■雪遊びイベント中止に=「放射性物質心配」の声―青森の630キロ無駄に・沖縄 (時事通信社 - 02月21日)
那覇市と海上自衛隊第5航空群(同市)は21日、23日に予定していた子ども向け雪遊びのイベントを中止すると発表した。雪は同航空群が青森県十和田市から搬送したが、沖縄県に自主避難している父母らから、「放射性物質が含まれているのでは」と懸念する声が相次いだためという。イベントは2004年度から続く恒例行事で、中止は初めてという。
イベント用の雪は約630キロ。八戸航空基地(青森県八戸市)の訓練に参加した隊員らが16日、十和田市内で集めてP3C哨戒機で運んだ。搬送時と到着時の2回、放射線量を計測した結果、過去の平常値と同じ水準だったという。
一方、那覇市には2月中旬ごろから、東日本大震災後に自主避難してきた人たちから、会場となる児童館や市に対し、中止を求める声が10件程度寄せられた。市は20日、児童館で説明会を開催。集まった約20人の父母らに対し、放射線量の測定結果を伝え、危険性はないとして開催への理解を求めた。
しかし、参加者からは「雪に含まれた放射能が溶けて空気中に拡散するのでは」「放射能汚染を避けるため沖縄に避難している。少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」などの声が上がった。
またもやこういう騒動が起きたので、それでは、沖縄がどれだけ放射能フリーな場所なのか、過去の分析結果から確認してみよう。
ソース元は、1960年代から行われている環境放射能水準調査。
ここで、土壌に含まれるセシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム239+240について調べてみる。
以前にも紹介したが、ここで調べられる
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top
さて、数字の中身だが、今回騒動が起きたのは沖縄の那覇市のようなので、那覇市における近年(2005年以降)の数字を見てみよう。
まずセシウム137からいくと、那覇市では、2005年に最大5.71Bq/kgが検出されている。
その後も、2008年に3.9Bq/kg、2009年に2.7Bq/kgといった数字が継続して確認されている。
ちなみに、Bq/㎡の単位も含めると、2006年の 878 Bq/㎡(13.5Bq/kg相当)が最大となる。
もちろん、調査年から明らかなとおり、これは原発事故が起きる前の数字。
過去の核実験や、隣国からの黄色い砂の影響により、原発事故が起きるか前から、那覇市でも既にセシウム137は確認されている。
残念ながら、この時点で、沖縄と言えども放射能フリーの場所では無かったことが明らかとなってしまった。
しかし残念なことにこれだけに留まらず、ストロンチウムもプルトニウムも、既に那覇市では検出されている。
次はそれを見ていこう。
まずはストロンチウム90から。
ストロンチウム90は、2006年に最大1Bq/kgが確認されている。
やはりその後も継続して検出されており、2009年では0.55Bq/kgが検出されている。
ちなみにBq/㎡の単位では、2006年の 190 Bq/㎡(2.9Bq/kg相当)が最大となる。
そして、先程も書いたとおり、もちろん沖縄でもプルトニウムは確認されており、2005年の
0.21Bq/kgを最大として、2007年や2008年にも0.2Bq/kgという値が確認されている。
Bq/㎡の単位では、2006年の 31 Bq/㎡(0.5Bq/kg相当)が最大となる。
と、このように、沖縄の那覇市と言えど、残念ながら放射能フリーの場所では無く、セシウムもストロンチウムも、プルトニウムですらも存在している場所であることが分かった。
もちろん、原発事故が起きる前、原発事故とは無関係に。
今回、この雪遊びイベントに反対した、首都圏などから“自主避難”していった人達は、このように言ったらしい。
「雪に含まれた放射能が溶けて空気中に拡散するのでは」
「放射能汚染を避けるため沖縄に避難している。少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」
既に沖縄の土壌には、原発事故とは無関係に、セシウムもストロンチウムもプルトニウムも含まれている。
土壌にこれらが含まれている以上、風が吹いたり走り回ったりして砂埃が立てば、このうちの幾らかは当然、「空気中に拡散する」だろう。
また、「少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」とのことだが、原発事故が起きる前から、既に沖縄の土からは「放射能が測定されている」。
「放射能汚染を避けるため沖縄に避難している」とのことだが、残念ながら、沖縄という場所も、放射能とは無縁の、放射能フリーの場所では無かったことになる。
この雪遊びイベントに反対した人達は、沖縄という場所も放射能とは無縁ではなく、原発事故が起こる前から、セシウムもストロンチウムもプルトニウムも、既に存在していた場所だと知ったらどうするのだろうか。
まぁもちろんのこと、何も沖縄だけに限らず、世界中のどこに行っても、セシウム・ストロンチウム・プルトニウムが存在しているのが普通なのだが。
過去の核実験の影響によって。
もちろん、前回の日記に書いたとおり、例え「不検出」であったとしても、放射能がゼロであることを意味しない。
今の分析技術では、プルトニウム239原子が200億個あったとしても、検出することはできないわけで。
そんなわけで、既に我々人間の体の中にも、プルトニウムが0.037〜0.074Bq程度は含まれており、つまりは13秒〜27秒に1回は、体の中のプルトニウムからα線の被曝を受けている計算になる。
我々、地球上に住む人類は。
まぁ、既に多くの人が知るようになったとおり、放射能と言い出せば自然界に満ち満ちていて、地上で呼吸をすればラドンからα線を受けるし、雨が降ればラドンの娘核種が落ちてきてβ・γ線を受けるし、海に入ればα線を出すウランが含まれているわけで、放射能なんて何も特別でも珍しくも無い、地球が誕生したときからその辺に満ち溢れているものなんだが。
と言うか、こういう人達は放射能を何か特別なもののように考えているようだが、放射能自体は原子の自然状態の一つなわけで、言ってみればそれが自然の法則だし、自然の摂理の現れに過ぎないのだが。
「少しでも放射能が測定されているなら中止してほしい」
と言う人達は、
「放射能が無い場所というのが、この世界には非現実的」
ということを知ったら、どうなるのだろうか。
それとも、知っているとか知らないとかそんな問題ではなく、単に感情的な問題に過ぎないのだろうか。
放射能はキライとか、放射能は許せないとか。
おそらくは、きっとそうなのだろう。
ただ、その感情に振り回される方は、いい迷惑だと思う。
【追記】
あと、この件をより深く理解するための別ニュースなどを。
○分析結果は「不検出」だった
16日に段ボール箱25個分の雪を運びこみ、那覇市内の基地の冷凍施設で保管していた。自衛隊が放射線量を測ったが、検出されなかったという。降雪中のセシウム濃度を測定している青森県原子力安全対策課は「1カ月分の雪を溶かして濃縮しても、問題ないレベル」としている。
http://www.asahi.com/national/update/0221/SEB201202210017.html
○そもそも「分析結果を信用しない」らしい
那覇市は20日、市内の集会場で避難者に安全性を説明したが、「政府や自治体の説明は信用できない」といった意見が出て理解は得られなかった。イベントは今回が18回目の予定だった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120221-OYT1T01116.htm
それと、“自主避難”だけど、福島からの自主避難と思われているフシもあるようだけど、ツイッター情報などによると、首都圏からの自主避難者も含まれている模様。