20km圏内の状況

福島第一原発から20km圏内の状況を書く。

文科省から、福島第一原発20km圏内の、放射線モニタリング状況が公表されている。
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/21/1305284_0421.pdf

以前に、20km圏内のモニタリングを行う、という発表を聞いたときから、結果には関心を寄せていた。

正直、かなり厳しい結果が示されるものと思っていたのだが、結果は、予想に反し、自分が思っていたよりも酷くはなかった。

もちろん、距離が距離だけに、高線量地点はある。

大熊町夫沢:110μSv/h(西南西3km)
が飛び抜けているが、他には、

大熊町熊川:53μSv/h(南南西4km)
双葉町山田:50μSv/h(西北西5km)
浪江町昼曽根:31.5μSv/h、(北西20km)
浪江町川房:29.8μSv/h(北西17km)

といった地点で高線量が確認されている。


しかし、発見だったのは、一方で低い地点も少なからずある、ということ。

浪江町幾世橋:0.5μSv/h(北8km)
浪江町高瀬:0.55μSv/h(北北西8km)
南相馬市小高区蛯沢:0.6μSv/h(北13km)
大熊町野上:1.43μSv/h(西14km)
楢葉町井出:1.6μSv/h(南15km)
浪江町高瀬:1.7μSv/h(北6km)


これらの地点の値は、場合によっては、福島市二本松市郡山市で観測される値よりも、むしろ低い値だ。
同じ浪江町でも、高線量地点と低線量地点があるのは興味深い。

つまり、原発に近づけば線量が高くなる傾向はその通りとしても、その分布は一様ではなく、方角によっては低いところもあり、20km圏内であっても、場所によっては遠方の市より低いところもあるということ。


これをさらに、リンク中の8ページでは地図上で確認でき、北方向は北6km(浪江町高瀬)以北、西方向は西14km(大熊町野上)以西、南方向は南15km(楢葉町井出)以南は、明らかに低線量地域が続いている。
(この地図はかなり分かりやすい。政府もいい仕事していると思うけど)

今はまだ、原発をコントロール下に置けず、管理状態にはなっていないため、第一原発については避難指示の解除は難しいかもしれないが、今後、原発をコントロール出来るようになった時点で、これらの地域は、避難指示解除の有力候補になってくるのではと思う。

もちろん、他の地点についても、今後の線量の減り方次第によっては、解除レベルになってくる可能性もあるだろう。


自分としては何度も書いてきてる事だが、だからこそ、継続的なモニタリングが大切だ。

一部の地点、一時の数字を見て、「20km圏内はもうダメだ」とか「もう住めない」とか断言してしまうのではなく、今後も変化があるかもしれないのだから、モニタリングの結果を見て、その時点その時点で、冷静な判断をしていくことが必要だ。

今回の、20km圏内のモニタリング結果により、原発が安定したときには、避難指示を解除できそうな地点が複数あることが分かったことは、大きな収穫だと思う。

もちろん、今後も慎重かつ継続的にモニタリングを行う必要があるが、現段階で、「避難対象区域は10年20年住めない」などと言ってしまうのは、大きな間違いであるように思う。


10年20年住めないと言っちゃった人

http://d.hatena.ne.jp/akatibarati/20110418/1303139075