最悪の可能性を考えて行動するべき?


■携帯の電磁波に発がんリスクの疑い=WHO専門組織 (ロイター - 06月01日)
 5月31日、国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話の頻繁な利用によって特定の脳腫瘍が引き起こされるリスクが高まる恐れがあるとの見解を示した。写真はロサンゼルスで撮影(2011年 ロイター/Fred Prouser)
 [ロンドン 31日 ロイター] 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)は31日、携帯電話の頻繁な利用によって特定の脳腫瘍が引き起こされるリスクが高まる恐れがあるとの見解を示し、消費者に対し影響を最小限にとどめるための措置を講じるよう促した。
 14カ国の科学者31人から成るIARCのチームは、携帯電話が健康に与える影響について入手可能な全ての科学的証拠を調査。その結果、携帯電話の使用について、5段階で示される発がんリスクのカテゴリーで、上から3段階目となる「発がん性が疑われる(possibly carcinogenic)」に位置づけた。このカテゴリーには他に鉛、クロロホルム、コーヒーなどが含まれる。
 調査チームは、より明確な答えを得るには長期間にわたる詳細な研究が必要とした上で、今回の判断を受けて、WHOが携帯電話の使用に関するガイドラインを見直す可能性があるとの見方を示した。
 WHOは過去に、携帯電話の使用とがんの関係を示す明確な証拠はないとの見解を示していた。
 IARCのチームを率いたジョナサン・サメット氏は電話会見で、原則的に関連する全ての証拠を調査した結果、携帯電話の電磁波について発がん性が疑われるとの判断を下したと説明。一部の証拠では、携帯電話の使用と神経膠腫グリオーマ)と呼ばれる脳腫瘍のリスク増加との間に因果関係が示されたと述べた。
 携帯電話の発がん性をめぐる調査では、これまで明確な因果関係が示されていなかったが、今年2月の米国の研究では、携帯電話の使用が脳細胞の活動に影響を与えると指摘している。
 IARCのディレクターを務めるクリストファー・ワイルド氏は、特に長期間にわたる携帯電話の頻繁な利用について、一段の調査が行われることが重要と指摘。「さらなる調査結果が明らかになるまでの間は、携帯電話のハンズフリー機能やメール機能を用いて(脳への電磁波の)影響を軽減するなど、実際的な取り組みを行うことが大事だ」と述べた。
 一方、業界団体はIARCの報告に反発している。
 米移動体通信産業協会のジョン・ウォールズ氏は「発がん性が疑われる」とのカテゴリーには日常摂取する野菜の漬物やコーヒーも含まれているとし、「(IARCの判断は)携帯電話ががんを引き起こすということを意味しない」と述べた。
 ウォールズ氏は、IARCの調査チームは既存の研究結果を調査しただけで新たな研究を行っていないと指摘。米食品医薬品局(FDA)などの他の規制当局は、携帯電話の発がん性を示す十分な科学的証拠はないとしている、と述べた。
 英国の携帯電話事業者協会(MOA)のエグゼクティブディレクター、ジョン・クック氏も声明で、IARCは危険性がある可能性を指摘したに過ぎないとの見方を示し、「一段の科学的な調査が必要」と述べた。

○○のガンリスクは、まだ解明されていない。
だから念の為、最悪を想定して行動すべきだ。
特に、子供の影響は将来になってから出る。
だから、妊婦と子供は○○から避けた方がよい。
可能であれば、避難した方がよい。

最近、よく見かけるフレーズ。

○○には、「低放射線」が入ってきたわけだが、今回は、「携帯電話」が入りました。

そんなわけで、こうなります。

携帯電話のガンリスクは、まだ解明されていない。
だから念の為、最悪を想定して行動すべきだ。
特に、子供の影響は将来になってから出る。
だから、妊婦と子供は携帯電話から避けた方がよい。
可能であれば、避難した方がよい。


こういったフレーズで、低放射線の危険性を訴えてきた人は、携帯電話に対しても、同じように危険性を訴えてもいいよね。
妊婦や子供には携帯電話を持たせちゃいけないし、妊婦や子供の近くで携帯電話を使うのも禁止だ。
街中には、携帯電話の基地局が至る所にあるのだから、妊婦や子供は、携帯基地局の無い場所まで避難させなきゃならない。
原発と言って原発の廃止を求める人は、反携帯電話と言って、携帯基地局の撤去運動に取り組んでもいいくらいだね。

まさか、放射線は僅かでも危険性があると言いながら、妊婦や子供の近くで携帯電話を使っている人はいないよね。
放射線から避難しろと言うのなら、携帯基地局からも避難した方がいいと思うよね。
山本太郎はまさか、近くに妊婦や子供がいるところで、携帯を使ってはいないよね。
オペレーションコドモタチと言って、携帯電話の無い場所まで、避難させてあげても良いと思うよね…

まさか、低放射線のガンリスクは無視できないと言いながら、携帯電話のガンリスクを無視している人はいないよね。
どちらも、危険性が無いとは解明されていないんだから、片方のリスクは無視して、もう片方は無視しないというのは、変だよね。


「最悪の可能性を考えて行動しろ」とはよく聞く。
今回の最悪の可能性は、携帯電話には遅れて出てくる発がん性があり、子供達の多くが、将来がんになるという可能性。

最悪のことを想定するなら、そういう可能性があるわけで。
だったら、今すぐ携帯電話を廃止するか、妊婦や子供達は携帯電話の無い世界に避難させるか。
最悪の可能性を考えて行動するなら、そうするべきだよね。


まさか、放射線の場合は最悪の可能性を考えるべきだが、携帯電話は考えなくていいんだみたいな、そういう変な話は無いよね。
放射線は自分が嫌いだから批判するけど、携帯電話は好きだから批判しないとか、そういう変な話は無いよね。


まぁ、結局、防災とかリスク管理というものは、突き詰めて考えていくと「費用対効果」の話になってくる、ということなんだけどね。
人の健康、人の命を、費用対効果みたいな、経済の話にするな、などと怒られるかもしれないけど、でもね結局、真剣に防災のことを考えれば考えるほど、費用対効果の話に行き着かざるを得ないんだよね。

「健康を守る!命を守る!」そう言ってりゃあ、美しく見えて、カッコいいかもしれないね。
自分が何か、正義の人間、カッコいい人間に思えるかもしれないね。
だけど、「健康を守る!命を守る!」そう言っているだけじゃあ、健康も命も守れないことだってあるんだよ。
一見、正義に見えるその行動が、別の危険性を生み出してしまう可能性だってあるんだよ。
カッコいい人達には、理解してもらえんだろうけどね。


そういやぁ、こんな歌詞があったな。


カッコ良く生きていくのはどんな気がする
カッコ良く人の頭を踏みつけながら