学校の２０ｍＳｖの話
◇
■「年２０ミリＳｖ」撤回を〜福島の保護者ら（日テレNEWS24 5月23日）
福島県の保護者らでつくる団体が２３日、学校での屋外活動における「年間２０ミリシーベルト」という子供の放射線量の基準値を撤回するよう文科省に求めた。
要請をしたのは福島県の市民団体「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」で、福島県で子育てをしている親６０人も参加した。
文科省は、子供が校庭を制限なく利用できる放射線量の基準を、年間２０ミリシーベルトを前提に一時間あたり３．８マイクロシーベルト以下と定めている。市民団体側は、この基準値は高すぎるとして撤回を要請した他、校庭の除染作業や子供を避難させる費用の支援を早急に行うことなども求めた。
対応した文科省の担当者は「検討を進めていく」と述べるにとどまった。
◇
熱心に子供の安全を求める市民、涙を流しながら訴える女性、事務的な返答の役人。
アピール的にいい映像だったね。あれは。
テレビカメラをあらかじめ役所前に呼んでおく市民団体というのが、私的にはちょっとアレなんだけど。
まぁいいか。そういうのは。
で、「学校での年間２０ｍSv」について、つらつらと。
・２０ｍSvという上限は、ICRPの勧告に基づく。
・この値は、４月の値が、そのまま１年間継続すると仮定して計算されたもの。
・１日のうち、８時間を3.8μの校庭にいて、残りの１６時間を3.8μの校庭の上に立った木造家屋にいると仮定して計算されたもの。
・実際には、８時間も校庭にはいないし、コンクリート造りの学校内では、低減効果はもっと大きい。
・例えば、４月１４日時点で放射線の一番高かった、伊達市立小国小学校では、校庭で5.6μSv/hだったものが、校舎内では0.2μSv/h。
・４月時点の放射能は、来年までの１年間に７割程度減衰する。
・一番高かった、小国小学校（5.6μSv/h）の場合、１年で３３％減衰すると計算されるから、１年後には3.8μＳv/hを下回る。
（ただし、小国小学校では既に校庭の除染を実施済）
・文科省が行った、より児童の実際の生活パターンに近い積算線量の推計では、3.8μＳv/hの学校の場合、年間9.99ｍSv。
（当然、3.8μに達していない学校ではもっと低い）
・このうち、学校で受ける線量は１７％（1.67ｍSv）であり、残りの８３％（8.32ｍSv）は学校外でのもの。
・ちなみに、内部被曝については、学校に通う２００日のグラウンド上での線量として、外部被曝の１．９％と見積もられている（埃からの吸入、手についたもの、傷口からのもの込み）。
・この値は、８月下旬頃までの暫定的なもの。
・文科省では、校庭土の上下置換対策を検討中。
と、このように、この年間20ｍSvという値は、仮定を安全側に置いた、暫定的なもの。
20ミリという値には、その値が導き出された前提条件というものがあるんだから、その辺の、計算の前提条件を無視して20ミリ20ミリと騒いでも、意味が無いと思うけどね。
学校で20ミリ被曝するのが問題のように言われるが、仮に何もしなかったとしても、20ミリを超えることは無いよ。
その意味では、この批判は、既に批判の対象を失っているようにも感じるんだよね。
そもそも、この手の話で一番疑問なのは、「学校での20ｍＳｖ」を騒いでいるわけなんだけど、計画的避難区域が設定された時も20ｍＳｖだったんだし、そこで子供も生活してるわけだから、その時から騒がなきゃおかしい話だと思うんだよね。
同じことは、小佐古先生のときにも書いたけどさ。
子供にとって学校での生活は一部に過ぎず、家に帰ってからの時間の方が長いし、文科省が示したように、学校で受ける線量と、学校外での線量では、学校外の方が大きいんだからさ。
なんか、「学校」という単語に反応して、騒いでいるように感じてしまうんだけど。
心配するにしても、本当に考えるべきなのは、そこでは無いと思うんだけどね。
それから、話は変わるけど、自分は今まで、
「これまでの放射性物質の量では、心配に値するほどの影響は出ないと思っている。僅かながら、人体への悪影響があるかもしれないが、それよりも生活習慣や食生活の方が大きな影響要因だから、そっちの心配した方がいい」
という趣旨のことを書いてきた。
一応、こういったところが根拠ね（知ってる人も多いだろうけど）。
○がんのリスク（国立がん研究センター）
http://www.ncc.go.jp/jp/information/pdf/cancer_risk.pdf#page=2
喫煙者・毎日３合以上飲酒 １．６
毎日２合以上飲酒 １．４
痩せ過ぎ １．２９
太り過ぎ １．２２
運動不足 １．１５〜１．１９
塩分取りすぎ １．１１〜１．１５
野菜不足 １．０６
受動喫煙（非喫煙女子） １．０２〜１．０３
100mSv未満の被爆 検出不可能 ←←←←←←←←←←←←
