この期に及んでまだ「削り」思考か

災害が起こる前から、日本はデフレ不況だった。

災害が起きたことで、更なるデフレ不況になるだろう。

この状態で、さらに給与を減らす。

それはつまり、消費が減る。
さらなるデフレ圧力になる。


「給与カットした分、別の支出に充てるんだからトータルでは問題無い」
という言い分は、この際無意味だろう。

今必要なのは、アッチの支出を削ってコッチに回す、という事ではなく、全体の支出額をいかに増やすか、それによって景気の悪化を少しでも食い止める、ということなのだから。


財源は、もうこの際何だっていいだろ、と言いたくなる。
日銀引受でもいいし、普通に国債の大発行でもいい。

災害で、消費減少の予測が立てば、企業だって設備投資しなくなる。
金を借りたいやつがいなくなる。資金需要が無くなる。
ダブついた資金抱えた銀行が、喜んで国債買ってくれるさ。

そもそも今の状態で、「削り」発想が出てくるというのが問題。
これがまず一つ。



次に、公務員。

まぁアレだね、警察・消防・自衛隊、そういう方々が現場で体張って頑張ってるのは、既に多くの人が書いている。

それだけではなく、情報収集、避難所運営、物資の手配、各種証明書の発行、仮設住宅の手配、埋葬の手配、そして、今後の復興と、そういった諸々の、地味だけど生活に欠かせない仕事をしているのは、普段は見向きもされない行政職。

自分の家が傾いても災害対策で働いてる、自分の家がぶっ壊れても避難所で寝泊りしながら働いている、地味な行政職がいるわけさ。


まぁ、普段は、
「公務員はバカでクズで役立たず。高校生のバイトの方がマシ」

と言われてる人らだけど、今はその、バカでクズで役立たず達が、ロクに家にも帰らず働いているわけさ。

現場でも、災害対策本部でも、霞ヶ関でもね。


まぁ、給料が下がるのは、もう規定路線だろ。
公務員の給料は、(同種同等の)民間との比較によって決まるから、今回の災害で(同種同等の)民間の給与も下がるだろうから、同様に公務員の給与も下がる。
これはもう規定路線。

今回のは、人事院勧告によらないカットだから、特別立法だろ。
つまり、通常ルーチンでの(同種同等の)民間準拠のカットの上に、さらに別枠でカットになるという話だろ。


まぁ、カット、それは決めちゃえばそうなるんだから、彼らはそれを受け入れる以外にない。


ただ、私がどうも、それでいいのかと思うのは、

「バカでクズで役立たず。高校生のバイトの方がマシ」扱いされてきた人が、ロクに家にも帰らず働いている。

そして、給与もカット。


それでも、この災害がひと段落したら、相変わらず彼らは、
「バカでクズで役立たず」扱いなんだろうな、ということ。


自分の努力と能力を傾けても、金も無い、名誉も無い。
そんなところに、自分の能力に自信のある人が、働きに来るのかなということ。

待遇を下げれば、待遇にこだわらない真にやる気のある人材が集まる論者は、まずは自分の会社で実践してみてください。
私はそれは無理だと思う。


それよりも、日本国民は、本気で奴隷を欲しているのでは無いかということ。
従順で、文句も言わず、自分の全能力を投げ打って、低賃金で身を粉にして働く、そういう便利な奴隷を、結構本気で求めているんじゃないかと思えるところが、本気で気持ち悪い。


話が逸れた。
官でも民でも、働きに相応しい待遇を用意できないようでは、どっちもおかしいよ。


ともかく、今の、なるべく金を使った方がいいこの状況で、さらなる消費を減らす「削り」思考なんてやめた方がいい。

今この時に、金を使えるのは政府しかいないんだから、政府がガンガン金を使わないでどうするよ。