汚染地域には希望の雨となるか

私はこれまで、汚染地域のセシウム等については、半減期が30年だから、放射線量が半分になるには30年待たなければならない、という単純なものでは無く、雨風でも流出するので、それによっても減少しうる、という趣旨のことを書いてきた。

原発周辺にはこれまで、放射性物質の流出を期待できそうな大きな雨は少なかったから、地表に降り積もった放射性物質の移動は少なかったろうが、今回大雨が降るかもしれないと言うことで、放射性物質の流出に期待したい。


一つ、期待を抱けるような事実を示そう。

これは、茨城県鉾田市樅山(もみやま)局の、放射線量の推移だ。

雨が降るとのことで、茨城県東海村周辺の放射線量の変動をチェックしていた。
通常、雨が降れば、空気中のラドン・トロンが地表に落ちてくるので、50ナノグレイ程度は上昇しても不思議ではない。
だがグラフを見ると、上昇するどころかむしろ下降している。

また、もし今でも福島第一原発から、放射性物質の放出が続いているとすれば、これまでの北風に乗って東海村周辺にも到達しており、3月21日前後の雨で放射線量が大幅に上昇したように、今回も大きな上昇を見せてもおかしくないはずだが、上昇するどころか、むしろ下降している。

これはまず第一に、福島原発からは、環境に影響を与えるような放出は起こっていないことを示していると思われる。
(だから、黒い雨が降るとか、そんな話では無いし、外国がやっているシミュレーションもあんまし意味が無い)


そして、今回のポイントである、雨の後に放射線量が低下している事実。

現在の樅山局は、通常レベルよりも放射線量は高い(健康に影響のあるレベルではない)。
これは、原発からの新たな放出によるものでは無く、以前に地表に降った、放射性物質から発せられる放射線によるものだ。

そのような環境にある樅山局で、雨の後に放射線量が低下している。
これは何故か。

私は、雨によって土壌が洗われ、放射性物質が流出し、結果として線量が下がったものと推測している。
この傾向は、樅山局だけでなく、他の東海村周辺の監視ポイントでも同様に確認できる。


もちろん、あくまで現段階での一つの推測ではあるが、原発周辺においても、雨により放射性物質が流出し、汚染が少しでも低くなることを期待したい。

今後のモニタリング結果に注目したい。